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ー野生の鷲・鷹マニアのためのメルマガー
 鷲・鷹マニアック◆創刊号◆
   
 ―イヌワシ― 
 【英 名】Golden Eagle 【学 名】Aquila Chrysaetos
 全長76〜102cm  翼開長180〜277cm
 体重2.8〜6.7kg MAX 12.1kg
【 生息地 】

 ユーラシア大陸、北アメリカ大陸と極地を除く北半球に広く分布する。地域としては山岳や草原性。
【黄色い部分が生息地】


【 解 説 】
総合力を含めてこの鷲が最強だという説もある。急降下を得意とし、そのスピードは最高速350km/hに達する。大陸産は日本産に比べて体も大きく、大きな獲物も取る。飛行・滑空能力に優れ、強風にもビクともしない。五つの亜種がある。
【人類との歴史的背景】

東洋

 日本では鷹狩りとしての交わりは定着化しなかった。子供を殺す危険性があり、また大型で気性も荒く飼育、調教が危険という二大要因がそうさせたわけだが全くなかったわけではない。中央アジアでは現在もなおイヌワシを使った狩りが行われている。モンゴル、キルギス、カザフなどの国では騎馬民族の間でこの伝統が継承されている。シカやオオカミ狩りに使うときは、獲物の頭を狙うという独特の訓練法を使い、実際にトドメをさすのは猟師がするらしい。銃がある近代ではすぐにトドメをさせるが、その時代より遙かに古来からオオカミ狩りは行われてきた。はたしてどうやってトドメをさしたのか。
西洋
 ヨーロッパでは古くから権力の証、専制と独裁の象徴とされ、家紋や紋章として広く使われてきた。また一方でロシアなどではオオカミ狩りにも使う。鷹匠がオオカミ狩りで11羽返り討ちにされ、12羽目でオオカミを狩ったイヌワシが、スターリンから勲章をもらった。ヨーロッパでも狩りに使う地域もあるようだ。ハプスブルグ家の『双頭の鷲』十字軍のイヌワシ (golden eagle), など歴史を掘り起こせば、このワシがいかに多く使われてきたかが分かる。

◆◇◆剣 鷹が斬る!戦闘能力分析◆◇◆−各項目10段階評価−

 スピード  水平飛行 6  急降下  10 機動力  5 瞬発力 6
 テクニック 狩猟能力 7  滑空能力 10 地上戦  7 
 パワー   体力   8  爪の力   7 浮上能力 9 
            総合評価75ポイント
 獲物・Diet

 ウサギ・ヤマドリ・キツネ・テン・子ヤギ・小中型哺乳類全般。更にはヘビ、小中型爬虫類。中大型鳥類全般。
 備考・例外的に狙う大物としては、山岳ではヤギやシカ、訓練された個体ではオオカミ狩りにさえ使われる。主食はウサギ、ヤマドリ。また山岳地帯に住むものは、下図のようにヤギや小型のレイヨウを掴んで引きずり落とすこともある。

》》》》イヌワシ・マニアック《《《《

 北半球の至る所に広く
生息するイヌワシ。超大型種でこれほど広く勢力を広げたワシはいない。総合力、適応能力No.1のこの実績が、最強とも言わしめるゆえんでもある。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の全域になわばりを持つ五亜種は意外と知られていない。オーストラリアにはオナガイヌワシ、アフリカ大陸にはコシジロイヌワシと別種ではあるが同じ学名Aquilaから分かれた大型種がある。そうなると南アメリカ大陸だけが、唯一進出していない大陸。

 その勢力を阻んだものは世界最大にて最強種、オウギワシか?最もイヌワシの生息地は山岳、平原でオウギワシはジャングルだが、大陸伝いにメキシコから勢力を伸ばせそうな気もするが。これは逆説も言える。オウギワシの勢力がメキシコで止っているのも、メキシコ砂漠の影響とも推測できる。


 ヨーロッパイヌワシ
【英 名】Eurasian Golden Eagle (Aquila Chrysaetos Chrysaetos)
 ♂2800〜4600g、♀3800〜6700g 翼開張が平均で189〜227cm。
 イギリス北部からスカンジナビア半島、ロシア西部に生息する亜種。大型で力強い。体重も6kgを超える個体あり。ベルクートの次に大型のワシ。ヨーロッパ最強のワシ。

 アメリカイヌワシ
【英 名】American Golden Eagle (Aquila Chrysaetos Canadensis)
 体重♂3000〜4300g、♀3600〜6400g
 北アメリカおよびロシア東部の亜種。大型強力種。南アメリカの最強がオウギワシなら、合衆国以北の王者は間違いなくアメリカイヌワシだ。国鳥の座こそハクトウワシに奪われたが、メキシコ以北で最強は間違いなくアメリカイヌワシだ。

 スペインイヌワシ
【英 名】Spanish Golden Eagle (Aquila Chrysaetos Homeryi)
 体重2900〜6000g
 地中海沿岸周辺にいる亜種。スペイン最大最強の亜種でニホンイヌワシの次に大型。

 ニホンイヌワシ
【英 名】Japanese Golden Eagle (Aquila Chrysaetos Japonica)
 全長75〜90cm 3000〜5000kg
 最も小型で、日本、朝鮮半島の亜種。最も小型の亜種といえど大きなものは翼開長は2m。
 獲物・ノウサギ、ヤマドリ、ヘビまでが70%。キツネ、テンなども希に捕る。同大、強力種の猛禽として双璧のクマタカがよく上げられるが、厳密にはニホンイヌワシの方がやや大きく体重も1kg重い。力関係に置いても

 ベルクート
【英 名】Russian Berkut 【学 名】Aquila Chrysaetos Daphanea
 全長 最大102cm 体重♂4000〜4400g、♀4250〜6500g、MAX12.1kg
 ヒマラヤ、中央アジア周辺の亜種。五亜種は無論、コシジロイヌワシ、オナガイヌワシも含めた全イヌワシ類のなかで最大最強と思われる。他の亜種が地名、国名の後に Golden Eagleと名乗っているのに対し、この亜種だけがRussian Berkutと来た。翻訳すると「ロシアの火の鳥」である。キルギス地方ではオオカミ、シカ狩りにさえ使われた。頭に向かうように訓練され、獲物は最後には疲れ切ってしまう。
 獲物は中型哺乳類全般。

キルギスの
オオカミ狩り


 キルギス、モンゴル、ロシアで実際に行われてきたオオカミ狩り。他にシカ狩りなども使われた。その訓練法は、シカの頭に向かわせるように教え込む。
頭に強力なかぎ爪を打ち込まれた獲物は激しく暴れる。しかしイヌワシは握力も強いので一度ガッシリ押さえ込まれたら外れない。出血多量でヘトヘトに獲物は弱る。そして疲れ切った頃には鷹匠が駆けつけ銃でトドメをさす。
 しかし、銃がない昔はそうもいかない。トドメの刺し方も違ったはずだ。モンゴルの鷹匠などは、イヌワシは大変頭も良く、単独でもオオカミを狩ることが出来ると言う人もいる。
 しかし、実際には自分の数倍から十倍の、しかも肉食獣を狩ることは至難の業で、失敗例も多い。その場合、運が悪ければ返り討ちもある。
 モンゴルやキルギスでは、狩りに使ってきたイヌワシを、ある年月を過ぎると野性に返す。
 その年数も8年ぐらいの地域もあれば10〜12年の地域もある。そこには、鷹匠たちのイヌワシへの苦労のねぎらいと野生の個体数の回復、そして尊厳の意が伺える。若いイヌワシの目には、気を落ち着かせるためアイマスクが付けられることが多い。これも日本の鷹狩りにはあまり使われない。やはり大型猛禽の獰猛さは、簡単には押さえられないためか?
スカイファイター・エフ
『鷹戦士F』
 第二章 ベルクート允 第三章 真昼の誓い

『鷹戦士F』の小説でもイヌワシはお馴染みだ。Fと、ベルクート允の世代と国境を越えた深い友情が心を打つ。允はキルギスで人間の訓練を受け、人間の狩りの頭脳を取得し単独でのオオカミ狩りをマスターした達人。北半球最強と呼ばれたスカイファイター。そしてFは、親にはぐれ、弟を食い、地獄のような環境の中で生き抜き成鳥した若きカンムリクマタカ鷹戦士。二雄の
 
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 鷲・鷹マニアック 創刊号
   −イヌワシ−
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  ◆文章・データ編集・デザイン 剣 鷹
  ◆画像・剣 鷹、Kazue
  ◆編集・発行責任者 剣 鷹

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 次号 鷲・鷹マニアック 第二巻
       −ハクトウワシ−