スカイファイターエフ
『鷹戦士F』立ち読み
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第三章 真昼の誓い
An oath of high noon


 翌日、Fは血みどろになったダンを見つけた。かついでジャングルの上空を飛び、あの旅立ちを誓った木の上においた。朝靄の中、遺体を自分の巣の上にそっとおくと、鎮魂歌を歌うかのようにジャングル一体に響きわたる、哀しい声で鳴く。その声に呼び寄せられるように允が来た。
(昨日も蜂の巣に撃たれる夢を見たよ。だがなあ、お前の死に顔を見ていると怒りが湧いてどうしようもなくなる。ゆるせねえ)
 Fはギリギリと枝を握りしめた。允はFの目を確認するように睨む。
(F、どうするんだ。今なら逃げることも出来るぞ。お前はどっちをとる。ダンの死をどう受け取る?明日にも、今にもお前はこうなるかもしれないぞ)
 Fは允と無言のまま言葉を交わした。
しかしFのかぎ爪は怒りにギリギリと枝に打ち込まれていく。
(允、逃げるのはお前の自由だ。好きにしろ。俺は行く)
 Fの目は闘志の固まりのような何処までも澄んだガラス玉のように光り輝く。
「F、俺も行くよ」
 そして二羽は木の上で永遠に眠るダンにいう。
「ここで見てな。おまえの仇はとる」
「行くぜ。F」
 允は太陽をにらむ。二羽は大空に舞い上がった。

 ダニエルの銃が火を吹き、また一つの命が消える。その銃声を頼りに二羽は西へと向かう。
(カンムリクマタカって奴は普通に飛んでも速いのか…)
 允の高速ですら、普通に飛ぶFについていくのがやっとだった。
「この辺にはいねえ。ちっと飛ばすか」
 Fはスピードを上げ、鷲戦士として鍛え上げている允でさえ突き放されてしまう。気の強い彼は、遅く飛んでくれなんてとても言えない。
「ちきしょう!」
允はガムシャラに飛ばす。そして太陽が最も輝きを増したころ。
「見つけたぜ」
 上空二千メートルから、一匹のウサギを見つける鷲鷹類の目。視力15のFの目はすぐにハンター達を見つける。Fは大きく弧を描いてその回りを一周する。允はその合図で分かった。
 Fは急降下に転じる。
「允、挟み撃ちにするぜ」
 Fは密林の中へと消え、允は彼と反対の方向へと飛ぶ。ハンター達を木の影からにらむ允とF、木が柵のように視界をさえぎる。
(あいつがリーダーだな。さすがに銃の腕もたつ。奴が反応してから引き金を引く前に、その首を砕くしかねえか。だとしたら、最初に殺さねばならねえのが、あいつだ)
 Fは陰になり、敵を欺き、羽音をたてずに至近距離へと近づく。允は、Fが凄まじいスピードでそのリーダーめがけ突っ込んでいくのが見えた。



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